【薬学博士監修】『抗酸化作用』って何?代表的な化粧品の成分を紹介!
健康や、年齢肌のお手入れなどでよく聞かれる『抗酸化作用』、化粧品業界でも有名です。実際にどのような効果が期待できるのかご存知ですか。この記事では、抗酸化と肌の老化との繋がりから、抗酸化作用をもつ代表的な化粧品の成分を詳しくまとめました。
また化粧品のパッケージには、なぜ『抗酸化』と書かれていないのかその理由もご紹介します。肌の老化にお悩みのときや、美肌を長くキープしたいときのスキンケア選びにぜひ参考にしてみてください。
目次
- 抗酸化とは?肌の老化との繋がりは?
- 活性酸素は悪者?活性酸素が肌の老化を招く原因とは
- 抗酸化作用をもつ代表的な化粧品の成分
- ビタミンC
- ビタミンA
- ポリフェノール
- ビタミンE
- フラーレン
- コエンザイムQ10
- 化粧品に『抗酸化』が書かれていない理由
- 化粧品では『抗酸化』の表現は認められていない
抗酸化とは?肌の老化との繋がりは?
肌の酸化が起こると、乾燥や、シワ、そばかす、シミ、たるみなどの肌悩みを招くことも。抗酸化とは、酸化を予防してすこやかな状態を長く保ってくれることを意味します。抗酸化作用が期待できる化粧品の成分は、すこやかな肌の状態を長く保ってくれるため年齢肌のお手入れにもぴったりなのです。
活性酸素は悪者?活性酸素が肌の老化を招く原因とは
すべての活性酸素が酸化を引き起こす悪者というわけではありません。活性酸素は、脂質やタンパク質と結合し健康な細胞を傷つける要因となる一方で、細胞伝達物質や免疫機能としても働きます。活性酸素が、生体内で常に産生されるにも関わらず、我々が健康を維持できるのは活性酸素から自己を防御する抗酸化防御機構が備わっているからです。
そもそも酸化とは、酸素と何かが結びつき起こる現象のこと。鉄がサビついたり、りんごの切り口が茶色に変色したりするのも酸化現象の1つです。
実は酸素が体内で変化すると酸化が起こり、不安定でペアの電子や、分子がいないフリーラジカル化した活性酸素へ一部が変わるのです。フリーラジカル化した活性酸素が環境やストレスなどの影響で増えすぎると、健康な細胞を傷つけやすくなり、皮膚の細胞が傷ついた場合はシワや、シミなど肌の老化の原因になる可能性があります。
抗酸化作用をもつ成分はフリーラジカル化した活性酸素や我々の抗酸化防御機構に働きかけ、酸化が引き起こす影響を減らしてくれる作用が期待できるのです。
抗酸化作用をもつ代表的な化粧品の成分
抗酸化作用が期待できる成分は、植物由来のものや、動物性のものなど、さまざまな種類があります。その中でも化粧品に配合されやすい代表的な成分をご紹介します。
- ビタミンC
- ビタミンA
- ポリフェノール
- ビタミンE
- フラーレン
- コエンザイムQ10(CoQ10)
ビタミンC
ビタミンCにはシミ、そばかすのもととなる、メラニンの生成を抑える効果が期待できます。化粧品に含まれているビタミンCにはさまざまな種類があり、このような名称で成分表に書かれています。
- アスコルビン酸グルコシド
- リン酸アスコルビルMg
- アスコルビルリン酸Na
- アスコルビルエチル
- テトラへキシルデカン酸アスコルビル
- パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na…など
抗酸化作用の他にも、ビタミンCにはコラーゲンの生成を促す効果も期待できますよ。
ビタミンA
ビタミンAとは、人参や、レバー、豚肉などに多く含まれている油溶性のビタミンの一種。ビタミンAもビタミンCのように種類があり、このような名称で化粧品に表示されています。
- レチノール
- α-カロテン
- β-カロテン
- β-クリプトキサンチン…など
ビタミンAはこの他に、皮膚や、粘膜をすこやかに保つ効果も期待できます。
ポリフェノール
ブルーベリーや、赤ワインなどに含まれている成分として、健康面でも注目が集まっているポリフェノール。ポリフェノールには増えすぎた活性酸素を除去し、すこやかな状態に保つ効果が期待できます。
ビタミンE
緑茶や、アーモンドなどに含まれている油溶性のビタミンの一種である『ビタミンE』。ビタミンEには紫外線のダメージから発生した活性酸素を除去し、肌をすこやかに保つ効果が期待できます。化粧品の成分表示ではビタミンEではなく、このような名称で書かれていることが多いです。
- トコフェロール
- 酢酸トコフェロール
- α-トコフェロール
またお肌だけでなく、化粧品の成分の酸化防止目的で配合されやすい成分です。
フラーレン
フラーレンは活性酸素を吸着し、分解する抗酸化作用が期待できます。フラーレンはビタミンCなど他の成分にはない『持続性』があり、活性酸素を除去し続けるという特徴をもっているため、近年美容業界でも注目されています。
コエンザイムQ10
コエンザイムQ10は油溶性の成分で、活性酸素を抑制し増加を防いでくれる抗酸化作用が期待できます。コエンザイムQ10は本来私たちの体内でも生成されている成分ですが、加齢とともに減少してしまうため、食事や、サプリメントなどで補うのがおすすめです。大豆、ブロッコリーに多く含まれている植物由来のものと、イワシ、豚肉などに多く含まれている動物由来のものがあります。
またコエンザイムQ10は細胞のミトコンドリアに働きかけて、エネルギー生産に働きかける作用もあり、健康意識の高い人の間でも話題になっている栄養素です。
化粧品に『抗酸化』が書かれていない理由
お肌の老化が気になるときは、抗酸化に有効な化粧品でお肌のお手入れをしたい人も多いはず。しかし化粧品のパッケージや、化粧品の種類を見ると『抗酸化粧品』という種類は存在していません。今度はなぜ化粧品には『抗酸化』が書かれていないのか、その理由をご紹介していきます。
化粧品で『抗酸化』の表現は認められていない
実は化粧品のパッケージは過大広告にならないように、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」で表現できる範囲が定められています。その中では、『抗酸化』をPRする化粧品の表現は認められていません。
化粧品の効能効果の範囲
化粧品の効能効果として広告することができる事項は、後記の〔表3〕化粧品の効能効果の範囲に掲げる化粧品の効能の範囲とし、かつ当該製品について該当する効能の範囲とする
引用:日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版 〔表3〕化粧品の効能効果の範囲」より
https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide.pdf
先ほどご紹介した抗酸化作用が期待できる成分が配合されていても、『抗酸化』という表現は使えないので、抗酸化化粧品という商品を見つけることができないのです。
化粧品の成分表示から抗酸化作用が期待できる成分を探してみよう
抗酸化作用が期待できる成分は肌の老化の原因となる酸化を防いで、すこやかで美しい肌を長く保ってくれます。化粧品のパッケージには法律で定められているため、記載できない表現ですが、化粧品の成分表示で配合されている成分を確認することができます。今回ご紹介した成分を参考にしながら、ぜひお肌に合う化粧品を見つけてみてください。
監修者
薬学博士・杜 垚
東京大学農学部を首席の成績で卒業、同年東京大学農学部長賞を受賞。
東京大学大学院薬学系研究科で分子薬学博士号を取得。
大手化粧品会社にてスキンケア、ヘアケア、クレンジングの研究開発や成分配合に長年従事。
2020年株式会社Merry Plusを設立、代表取締役に就任。
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