【薬学博士監修】モイスチャーとは?おすすめの保湿成分や保湿ケアのポイントを紹介
化粧水や乳液など、さまざまな化粧品で「モイスチャー」という言葉が聞かれます。しかし、どんな意味なのか知らずに化粧品を使っている人もいるのではないでしょうか。
今回は化粧品の「モイスチャー」について詳しくまとめました。おすすめの保湿成分や、保湿ケアのポイントもご紹介しているので、乾燥が気になる時のスキンケア選びの参考にしてみてください。
目次
- モイスチャーとは
- モイスチャーとエモリエントの違い
- モイスチャーにおすすめの保湿成分とは
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
- アミノ酸
- 多価アルコール
- 保湿ケアのポイントは「モイスチャーバランス」
- 「モイスチャーバランス」とは
- 配合成分やテクスチャーをチェック
モイスチャーとは
モイスチャーとは英語の「moisture」であり、本来は「水分」や「湿気」を指す言葉です。一般的な化粧品名で使われる場合は「モイスチャーローション」「モイスチャーセラム」など、 肌に潤いを与えたり、潤いを維持したりするために配合される成分や保湿力を重視した化粧品名に使われることが多い言葉です。
「モイスチャー=保湿」というイメージが強いため、保湿ケアにはモイスチャーと表記されている化粧品を選んでいる人も多いのではないでしょうか。
モイスチャーとエモリエントの違い
モイスチャーと同じように保湿化粧品で使われやすいのが、「エモリエント」と呼ばれる言葉です。
エモリエントは、「肌の水分を蒸発されにくくして潤いを長くキープし、皮膚をやわらかく保つ」という意味合いで使われています。
またエモリエントを謳う保湿化粧品には、油溶性の保湿成分が配合されていることが多く、肌に油分が膜のように広がることで肌の潤いが蒸発しにくくなり、潤いを長くキープしてくれます。
「保湿」を目的としているクリームは、保湿クリーム、モイスチャークリーム、エモリエントクリームとも呼ばれ、「保湿」、「モイスチャー 」、「エモリエント」が同じ意味に使われることもあります。
参照:「日本化粧品工業連合会 化粧品用語解説 保湿とエモリエント」より
https://www.jcia.org/user/public/knowledge/glossary/moisturizing
一方、モイスチャーを謳う化粧品には水溶性の保湿成分が配合されていることが多く、肌に潤いを与えて角質層が潤いで満ちたなめらかな状態に整えてくれます。水分を引き寄せて長く潤いを保つ力に長けている保湿成分のことを総称して、「モイスチャー成分」と呼ぶこともあります。
モイスチャーにおすすめの保湿成分とは
実際にモイスチャー化粧品には、どのような成分が配合されているのでしょうか。モイスチャー化粧品に配合されやすい水溶性の保湿成分をご紹介します。保湿に優れた成分を知りたい人もチェックしてみてください。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、1gで約6リットルもの水分を抱え込むことができる保水力に優れた成分です。とろみのあるテクスチャーで、潤いを保つパワーが高いのが特徴です。肌に潤いとハリを与えて、イキイキとした印象に導いてくれます。
化粧品に配合される場合は、このような名称で配合されることがあります。
- 加水分解ヒアルロン酸
- ヒアルロン酸Na
- アセチルヒアルロン酸Na…など
ヒアルロン酸自体は分子構造が大きいため、角質層に浸透しにくいという特徴があります。加水分解ヒアルロン酸は分子構造を小さくし、角質層まで浸透しやすくした成分です。
一方、ヒアルロン酸Naは分子構造が大きい特徴を活かし、皮膚の表面に留まり潤いが蒸発しにくい状態へ導いてくれるヒアルロン酸です。
アセチルヒアルロン酸Naは、皮膚への密着力と保水力により優れている成分で、カサつきやすい皮膚を潤いで満たし、乾燥しにくい状態を維持してくれます。
コラーゲン
コラーゲンはタンパク質の一種で、肌の潤いと弾力を与えてくれる成分です。ヒアルロン酸と同じく本来人間の肌の真皮にも存在している成分ですが、加齢と共に減少していきます。
またコラーゲンもヒアルロン酸と同じく分子が大きい成分のため、肌の表面に留まる高分子タイプと、角質層へ浸透しやすい低分子タイプに分かれています。
低分子コラーゲンは「加水分解コラーゲン」として配合されることもあるので、成分表をチェックしてみるのがおすすめです。
アミノ酸
アミノ酸は皮膚を生成する上で欠かせない成分の1つです。特に皮膚の一番外側である角質層は50%以上がアミノ酸とアミノ酸をもとにして作られる成分から成り立っています。
アミノ酸は、肌に潤いを与えて外からの刺激から守る肌のバリア機能を整えてくれる成分です。
ちなみに肌のバリア機能が低下すると、皮膚の潤いが蒸発しやすくなり、刺激に敏感になってしまう場合もあるため、保湿ケアで整えていくことが大切です。
アミノ酸は体内で生成される「非必須アミノ酸」と、生成されない「必須アミノ酸」とに分かれていて、アミノ酸は20種類があります。ちなみに非必須アミノ酸に分類されている種類は、以下の11種です。
- セリン
- チロシン
- グリシン
- アラニン
- アルギニン
- グルタミン
- システイン
- プロリン
- アスパラギン
- グルタミン酸
- アスパラギン酸
非必須アミノ酸は体内で生成されるとはいえ、加齢とともに減少していきます。特に年齢を重ねるにつれて肌の乾燥が目立ってきた場合は、注目しておきたい成分です。
多価アルコール
「多価アルコール」といってもピンとこない人も多いのではないでしょうか。実は化粧品でよく見かけるこのような成分があります。
- グリセリン
- BG
- プロパンジオール…など
肌に潤いを与えて吸着し長くキープしてくれる働きをもっています。化粧品ではクレンジングからクリームまで、幅広いアイテムに配合されやすい成分です。さらに化粧品のベースとしても配合されることが多く、とろみがあり保湿力に優れています。
保湿ケアのポイントは「モイスチャーバランス」
保湿ケアを意識していても、肌が潤っているような感じがなく「すぐカサついてしまう」と悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。潤いのある肌を目指す場合は、保湿化粧品を使うだけでなく、肌のモイスチャーバランスも意識するのがポイントです。
「モイスチャーバランス」とは
肌のモイスチャーバランスとは、皮膚の「水分」「皮脂」「NMF(天然保湿因子)」の3つのバランスを表します。モイスチャーバランスが乱れてしまうと、保湿ケアをしていても肌がカサついたり、皮脂のバランスが崩れてベタついたり肌のコンディションが乱れてしまいます。
配合成分やテクスチャーをチェック
モイスチャー化粧品は「水分」「油分」「保湿剤」を配合し、肌のモイスチャーバランスを補ってくれるアイテムです。肌のモイスチャーバランスを整える場合は、肌質や肌の状態・好みのテクスチャーに合わせて使い分けるのがポイント。
特に皮脂分泌が活発になりやすい脂性肌は、化粧水や美容液・乳液はさっぱりとしたテクスチャーのものを選んだり、油分が多いクリームよりも水溶性の保湿成分が複数配合されている乳液で保湿ケアを行ったりと使い分けてみましょう。
一方肌のカサつきが目立ちやすい乾燥肌の場合は、水溶性の保湿成分の他に、肌の潤いが蒸発しにくい状態を保ってくれる油溶性の保湿成分も一緒に配合されているものがおすすめです。「モイスチャー」と「エモリエント」を両立できる化粧品を選ぶと良いでしょう。
モイスチャーバランスを意識した保湿ケアでうるおった美肌を目指そう
化粧品でよく見かける「モイスチャー」は、複数の水溶性の保湿成分を配合した化粧品の名称に使われることが多い言葉です。ただ「モイスチャー化粧品」だからといって、乾燥が気になるすべての肌質に合うとは限りません。肌質と相性の良い化粧品は、油分を含む化粧品かどうかによっても異なります。
肌の乾燥が気になる時に化粧品を選ぶ時は、今回ご紹介したモイスチャーバランスや、化粧品に含まれる水溶性の保湿成分を意識してみてはいかがでしょうか。モイスチャーバランスを意識した保湿ケアで、潤いのある美肌を目指していきましょう。
監修者
薬学博士・杜 垚
東京大学農学部を首席の成績で卒業、同年東京大学農学部長賞を受賞。
東京大学大学院薬学系研究科で分子薬学博士号を取得。
大手化粧品会社にてスキンケア、ヘアケア、クレンジングの研究開発や成分配合に長年従事。
2020年株式会社Merry Plusを設立、代表取締役に就任。
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