【薬学博士監修】乾燥肌にワセリンはNG?乾燥を悪化させない使い方とは

肌の乾燥対策としてワセリンを使用している人も多いのではないでしょうか。しかし乾燥肌の場合、ワセリンを使用すると肌が潤うどころかもっと乾燥が進んでしまうケースもあるので使い方には注意が必要です。


今回は乾燥肌でワセリンを使用すると肌の状態が悪化する場合について、詳しくまとめました。

乾燥肌におすすめのワセリンの使い方についても一緒にご紹介するので、乾燥肌のスキンケアでお悩みの人やワセリンで乾燥が悪化しないか悩んでいる人も参考にしてみてください。

 

目次


     

    ワセリンとは

    ワセリンとは


    ワセリンとは、石油を精製して作られた保湿アイテムのことです。保湿といっても潤いを与えるような水溶性の成分が含まれているわけではなく、油分で肌の潤いが蒸発しないように保護するタイプです。


    ワセリンに含まれる油分で肌の表面に膜を張ることで、皮膚内部の水分が蒸発しないように肌の乾燥を防いでくれます。皮膚に油膜を張るので、外からの刺激から皮膚を守るバリアのような役割も期待できます。

     

    乾燥肌にはワセリンはNG?

    乾燥肌にはワセリンはNG?


    ワセリンは潤いを保つ力に優れた保湿アイテムですが、使用するワセリンの種類や使い方によっては乾燥肌の人と相性が合わない場合もあります。


    そもそもワセリンは石油を精製して作られていますが、精製の度合いで見た目の色が淡い黄色から白色と異なります。医療現場で使用されているワセリンはとても純度が高い高精製で、透明度も高く不純物がほとんど含まれていません。


    肌刺激に敏感になりやすい乾燥肌の場合は、不純物の少ない高精製のワセリンを使うのがポイントです。


    肌のうるおいバランスが乱れてしまうケースがある

    肌のうるおいバランスが乱れてしまうケースがある


    乾燥肌は皮膚の潤いと皮脂の分泌量が少ないため、スキンケアでは肌の潤いと油分の両方を補うお手入れが大切です。


    しかしワセリンだけでお手入れをすると皮膚の油分量が多くなり、肌の潤いと油分のバランスが乱れやすくなります。乾燥肌はもともと肌に潤いを溜め込む力が少ない肌質なので、油分だけでなく水分も一緒に補うスキンケアが理想的です。


    さらに油分だけの多いスキンケアは皮膚のベタつきや、ニキビ・肌荒れなどをもたらす可能性もあるので注意が必要です。


    ワセリンのみだと水分が足りない場合も

    ワセリンのみだと水分が足りない場合も


    ワセリン自体には潤いを与える水溶性の保湿成分は含まれていません。乾燥肌の場合は潤い不足になりやすいため、油分の多いワセリンだけで保湿すると肌本来のもつ水分の蒸発は防いでくれるものの、肌に十分な潤いを補うケアを行えず肌のバランスを整えるのが難しいです。


    乾燥肌の場合は化粧水や美容液など潤いを与えてくれる化粧品を先に使った後で、仕上げにワセリンで潤いを守りながら保湿し、肌の水分と油分のバランスを整えるケアを心がけると良いでしょう。

     

    ワセリンを使うときの注意点

    ワセリンを使うときの注意点


    油分が多いワセリンを乾燥肌のスキンケアに上手くとりいれるには、どのようなことに注意したらいいのでしょうか。乾燥を悪化させないためにも、注意点をチェックしておきましょう。


    使用量に気をつける

    使用量に気をつける


    ワセリンは粘度が高いため、1度に大量に手にとってしまうと塗りムラになりやすいので気をつけましょう。

    指先にごく少量をとってから、手の甲や手のひらで良く伸ばして体温で軽く温めてから薄く顔につけるのがポイントです。


    乾燥が目立ちやすい目の下や頬・口周りは、薄く重ねづけをすると粘度があるワセリンもボテッとした厚塗りになりにくいのでおすすめです。


    白色ワセリンもしくは高精製のものを選ぶ

    白色ワセリンもしくは高精製のものを選ぶ


    ワセリンは種類によって精製度合が違います。淡い黄色のワセリンは精製されているものの、不純物も含まれている可能性があるので肌刺激に敏感な乾燥肌には使用を控えた方が良いでしょう。


    高精製のワセリンは、ドラッグストアやネット通販でも購入可能です。透明度の高い白色ワセリンやプロペト・サンホワイトなど、純度の高いワセリンを選ぶのがおすすめです。


    乾燥肌におすすめのワセリンの使い方

    乾燥肌におすすめのワセリンの使い方


    乾燥肌でワセリンを使って顔の保湿ケアする時に、おすすめの使い方をご紹介します。ワセリンだけで顔の乾燥がさらに目立ってしまった人も、適した使い方をチェックしながら普段のスキンケアに取り入れてみてください。

     

    化粧水や美容液で肌にうるおいを与えた後に使う

    化粧水や美容液で肌にうるおいを与えた後に使う


    ワセリンは油溶性の保湿ケアなので、スキンケアの仕上げに使うのがおすすめです。洗顔後にはまず化粧水で肌に潤いを与え、美容液で栄養を補い乾燥肌に不足しやすい水分のバランスを整えましょう。

    乳液で潤いと油分を整えてから、最後にワセリンでそれまで与えた化粧品の潤いと栄養が蒸発しないように、フタをするようなイメージで保湿するのがポイントです。


    乳液にも油溶性の保湿成分は含まれていますが、乾燥肌の場合は乳液だけだと皮膚が乾燥してしまう場合があるので、ワセリンで保湿力をカバーすると肌の潤いが長く保ちやすくなります。


    またワセリン自体は無香料なので、スキンケアの仕上げに使っても他の化粧品の香りを邪魔せずに使うことができます。


    少量をよく伸ばして薄づきにする

    少量をよく伸ばして薄づきにする


    ワセリンは少量でも保湿力を発揮してくれる、油分がとても多い保湿アイテムです。使用量が多いと肌の水分と油分のバランスが乱れてしまう場合があるので、少量を指にとってから手の甲や手のひらでよく伸ばしてから薄くつけましょう。


    特に皮脂の分泌が活発になりやすいおでこや、鼻筋・あご周りは厚塗りにならないように気をつけましょう。皮脂不足になりやすい乾燥肌でも、油分を多くつけてしまうとニキビや肌荒れに悩む原因になります。


    乾燥しやすい目の下・頬・口周りからワセリンをなじませて、最後に残った極少量をおでこや鼻筋・あご周りになじませると量が調節しやすいです。


    乾燥を悪化させずにワセリンを上手くスキンケアに取り入れてみよう

    ワセリンは使用する種類や、使い方によって乾燥肌を悪化させてしまう場合があります。しかし肌の潤いを守る力に優れた保湿アイテムなので、適した使い方や使用量・種類を良くチェックすれば、乾燥肌のお手入れにもおすすめです。


    今回ご紹介した使い方や注意点を参考にしながら、乾燥肌にお悩みの人も上手くワセリンを日々のスキンケアに取り入れてみてください。


    監修者:東京大学 薬学博士 杜 垚

    監修者

    薬学博士・杜 垚

    東京大学農学部を首席の成績で卒業、同年東京大学農学部長賞を受賞。
    東京大学大学院薬学系研究科で分子薬学博士号を取得。
    大手化粧品会社にてスキンケア、ヘアケア、クレンジングの研究開発や成分配合に長年従事。
    2020年株式会社Merry Plusを設立、代表取締役に就任。

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