【薬学博士監修】レチノールa反応とは?原因や症状、対策方法をご紹介

肌のコンディション改善に役立つ成分は数多く存在しますが、その中には、使用に際して少々注意しなければならない種類もあります。たとえば、レチノールがその例として挙げられます。こちらの記事では、レチノールの特徴や肌への作用、レチノールa反応の知識についてご紹介していますので、症状が現れた際の対策などにお役立てください。

 

目次

 


    レチノールとは?成分の特徴と作用について

    レチノールとは?成分の特徴と作用について

    レチノールとはビタミンAの一種で、ビタミンAが経口で体内に取り込まれた際に、活性型として体内でレチノールに変化するという特徴があります。

    なお、レチノールは体内に取り込まれるとレチナールに変化し、さらに変化を続けるとトレチノインになります。

    このように、レチノールは体内で変化し、体内ではそれぞれに異なった働きをすると考えられています。

    それではまず、レチノールの特徴や、レチノールが肌にもたらす作用からご紹介していきましょう。


    レチノールの特徴

    レチノールの特徴

     

    レチノールには、新陳代謝を促進させる作用があります。

    また、レチノールはスキンケア製品に配合されていることがある成分で、肌への作用が強いという特徴があります。

    そのため、レチノール配合スキンケア商品を始めて使う方や、成分に対して肌が過敏な反応を示す方が使用した場合では、炎症などのトラブルが起こることがあるといわれているのです。


    レチノールの肌への作用

    レチノールの肌への作用

    レチノールは肌への刺激が強い成分ではありますが、実はエイジングケア対策に役立つという一面も持っています。

    では、化粧品に配合されているレチノールは、肌にどのように作用するのでしょうか。

     

    • ターンオーバーの促進作用
    • コラーゲン生成の促進作用
    • 皮脂分泌の抑制作用

     

    レチノールには、このような作用があります。

    まずターンオーバーの促進ですが、ターンオーバーは細胞の新陳代謝を意味し、理想的な周期で繰り返されることで、肌をすこやかな状態に保つことができます。

    たとえば、ターンオーバースムーズに行われると古くなった角質が自然に剥がれますが、

    その際にはできているシミも同時に剥がれていきます。

    そして、それを繰り返すことで、できているシミの色素が薄くなる効果がもたらされるということです。

    また、レチノールにはコラーゲン生成の促進作用があるため、レチノール配合のスキンケア商品を使用することが、肌にハリやうるおいをもたらすともいわれています。

    さらに、レチノールには皮脂分泌の抑制作用もあるため、皮脂の過剰分泌による吹き出物予防にも役立つでしょう。

    成人以降にできる吹き出物は大人ニキビと呼ばれることがあり、何度でも繰り返す可能性があります。

    そして、このような頑固な大人ニキビの改善にも役立つのがレチノールなのです。


    知っておきたい「レチノールa反応」の知識

    知っておきたい「レチノールa反応」の知識

     

    レチノールの肌への作用は、エイジングケアに役立つと考えて差し支えないでしょう。

    しかし、レチノール配合スキンケア商品を使用する際には、少々注意しなければならないこともあります。それは、「レチノールa反応」と呼ばれる現象が起こる可能性があるということです。

    それでは、レチノール反応とはどのような反応なのか、なぜ起こるのか、そして、レチノールa反応が起こった際の対処方法についてご紹介していきますしょう。


    レチノールa反応とは。原因は何?

    レチノールa反応とは。原因は何?

     

    レチノールa反応とは、レチノール配合スキンケア商品を使用した際に見られる反応の総称で、レチノールの新陳代謝の促進作用が原因で起こるとされています。

    レチノールは肌に刺激を与える成分で、刺激に対して肌が敏感に反応すると、レチノールa特有の症状が現れます。

    なお、レチノールa反応が起こると、以下の症状が現れやすくなります。

     

    • 赤みやかぶれ
    • ヒリヒリ感や激しい痒み
    • 炎症や皮剥け

     

    これらが、レチノールの使用中に見られることが多い症状です。

    これらの症状は、レチノールを使用したすべての方に現れるとは限らず、症状のレベルについても個人差があります。

    特にバリア機能が低下しているときや初めてレチノールを使ったときには、これらの症状が顕著に現れることがあります。

    しかし、レチノールa反応の原因は新陳代謝の促進作用によるものですので、悪い反応ではありません。

    レチノールの使用で思いもよらぬ症状が現れると驚いてしまうかもしれませんが、レチノールa反応は、レチノールを使用した際に現れる反応で、異常ではないのです。

    まずはこの点について、しっかりと押さえておきましょう。


    レチノールa反応が起こったときの対処方法

    レチノールa反応が起こったときの対処方法

     

    レチノールa反応の症状の現れ方には個人差がありますが、強い症状が現れてしまうと、どうしたら良いのかわからなくなってしまうことがあります。そのようなときには、ひとまず以下の方法で対処してみてください。


    触らない、掻きむしらない

    触らない、掻きむしらない

     

    レチノールa反応では、痛みや痒みを伴う症状が現れやすいため、ダメだとわかってはいてもきになって触ってしまったり、搔きむしってしまったりすることがあるかもしれません。

    しかし、これらの行為は極力行わないように注意しなければなりません。それは、触ったり掻きむしったりすることで皮膚に刺激を与えると、症状がさらに悪化して、回復が遅れるリスクが高まるからです。

    では、どうすればいいのか?という話になりますが、とりあえずはなるべく触らず、症状が治まるまで待つというのがベストな方法でしょう。


    レチノールの使用方法を見直す

    レチノールの使用方法を見直す

     

    レチノールa反応は、肌のバリア機能が低下していたり、体の免疫力が弱っていたりするときに現れやすいといわれています。そして、これらの該当する方が、反応が現れているのにもレチノールを使い続けたら、ますます症状が悪化するリスクが高まります。

    そしてそうならないためには、レチノールの使用方法を見直すことが大切で、具体的には以下の方法があります。

     

    • レチノールの使用量、使用頻度を減らす
    • レチノールの配合量が少ないスキンケア商品に切り替える
    • レチノールの使用をしばらく中止する

     

    ただし、レチノールの使用を完全に中止してしまうと、レチノールに対する耐性がなくなってしまい、次回使用する際には強いレチノールa反応が現れることがあります。

    つまり、レチノールの使用を完全に中止するというよりかは、使用量や使用頻度を減らしたり、レチノールの配合量が少ないスキンケア商品に切り替えたりする方法がおすすめできるということになります。

    どうしても不安なら、皮膚科または美容皮膚科に相談して、使用方法のアドバイスを受けてみるというのもひとつの方法でしょう。


    「レチノールa反応」はいつまで?

    「レチノールa反応」はいつまで?

     

    レチノールa反応が現れてしまうと、その反応がいつまで続くのか、本当に改善されるのか、とても不安になるのではないでしょうか。

    実は、レチノール反応はいつまでも続くものではなく、短い方では1週間程度、長い方でも1カ月以内には治まる可能性が高いと考えられているのです。

    とはいえ、反応が現れている間は辛いですので、あまりにも辛いと感じのなら、無理に我慢するのではなく、皮膚科または美容皮膚科を受診して、医師の指示を仰ぐというのが賢明な方法でしょう。


    レチノールa反応の知識のまとめ

    今回は、レチノールの特徴や肌への作用、レチノールa反応の知識についてご紹介してきました。レチノールはビタミンAに属する成分で、私たちの皮膚にとって必要な成分です。

    また、この成分はスキンケア商品に配合されていることもありますが、人によってはレチノール配合スキンケア商品の使用で、レチノールa反応が現れてしまうことがあります。

    この反応は、レチノールを使用したすべての方に現れるものではなく、症状の現れ方についても個人差があります。

    レチノール配合スキンケ商品の使用でレチノールa反応が現れてしまったら、ひとまず使用量や使用頻度を減らす、レチノールの配合量が少ない商品に切り替える、一時的に使用を中止するなどで対処する必要があるでしょう。

    なお、強い症状が現れて悪化するようであれば、そのまま自然治癒を待つのではなく、皮膚科や美容皮膚科を受診して、適切な処置を受けておくことが大切です。


    監修者:東京大学 薬学博士 杜 垚

    監修者

    薬学博士・杜 垚

    東京大学農学部を首席の成績で卒業、同年東京大学農学部長賞を受賞。
    東京大学大学院薬学系研究科で分子薬学博士号を取得。
    大手化粧品会社にてスキンケア、ヘアケア、クレンジングの研究開発や成分配合に長年従事。
    2020年株式会社Merry Plusを設立、代表取締役に就任。

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