【薬学博士監修】エモリエント効果とは?モイスチャーとどう違う?保湿の種類を知ろう

保湿系の化粧品で、見かけられる「エモリエント効果」という言葉。保湿力に優れていそうな言葉ですが、実際にはどのような働きがあるのでしょうか。


今回はエモリエント効果について、詳しくまとめました。エモリエント効果と同じく、化粧品で目にしやすい「モイスチャー」との違いや、おすすめの成分などもご紹介します。

保湿ケアをしているのに、時間が経つとすぐにカサつく乾燥肌にお悩みの人も必見です。


 

目次


 

「エモリエント効果」とは?

「エモリエント効果」とは?


化粧品でよく見かけられる「エモリエント効果」は、肌の潤いを蒸発しないように保ち、肌をやわらかくキープするという意味合いで使われている言葉です。英語の「emollient」からとった言葉で、本来は「皮膚をやわらかくする」といった意味があります。


「エモリエント効果」は油溶性の保湿成分を含んだ保湿系の化粧品に使われやすい表現で、油分によって肌の潤いが蒸発しないように長く潤いを保つ効果が期待できます。


エモリエントとモイスチャーの違い

エモリエントとモイスチャーの違い


保湿系の化粧品ではエモリエント効果の他に、「モイスチャー」という言葉も見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。


エモリエントは肌の潤いが蒸発しにくい皮膚がやわらかい状態を保つことをいいますが、モイスチャーは「肌に水分を与えて潤いに満ちた状態を長くキープする」という意味合いで使われます。

エモリエントの場合は油分で肌の潤いを保つ、モイスチャーが水分を与えて肌の潤いを長くキープするといったイメージです。


水分を引き寄せて潤いを長く保つ水溶性の成分を総称して、「モイスチャー成分」と呼ぶこともあり、「モイスチャーローション」「モイスチャークリーム」など潤いを与えることに優れたみずみずしいテクスチャーの化粧品にも使われることが多い言葉です。


エモリエント効果による保湿におすすめの成分は?

エモリエント効果による保湿におすすめの成分は?


油溶性の保湿成分といっても、あまりピンとこない人も多いのではないでしょうか。今度は、エモリエント効果による化粧品に含まれやすい成分をご紹介します。

普段使っている保湿ケアアイテムに配合されているのか、お使いの化粧品も一緒にチェックしてみてください。


炭化水素

炭化水素


炭素水素というと成分のイメージが掴みにくいですが、化粧品でみかけられるこのような成分があります。

  • スクワラン
  • ミネラルオイル
  • ワセリン…など

石油を原料とするミネラルオイルや、ワセリンも炭化水素の一種です。酸化しにくく、大量生産が可能なため低価格で購入しやすいというメリットがあります。

水とはなじみにくい成分ですが、肌に膜を張るように長時間乾燥から皮膚を守ってくれます。

ミネラルオイルは赤ちゃん向けの保湿ケアアイテムに、ワセリンは医薬部外品にも配合されている成分です。


油脂類

油脂類


油脂類の成分には、「植物由来の油脂」「動物由来の油脂」があります。油脂の場合は種類によってそのままの状態だと酸化しやすいものもありますが、酸化しにくい成分と組み合わせて化粧品に配合されることが多い成分です。

  • オリーブオイル
  • アルガンオイル
  • アーモンドオイル
  • シア脂
  • 馬油…など

先ほど紹介した炭化水素よりもなめらかで角質層へなじみやすく、栄養価が高いのが特徴で、クレンジングから化粧水・美容液・保湿クリームなど様々なアイテムに配合されています。

植物由来・動物由来のオイルは未精製だと独特の臭いがあるため、精製された状態で配合されることが多いです。


エステル油

エステル油


エステル油はエステル結合を持っている油性成分で、合成されたものが多いです。安定性が高いので、様々な化粧品に配合されています。

  • パルミチン酸エチルヘキシル 
  • トリエチルヘキサノイン…など

油溶性の成分ですが、ベタつきにくく肌なじみが良いので、乳液や保湿クリームなどさっぱりとした使い心地の保湿ケアにも配合されることがあります。

 

セラミド類

セラミド類


保湿成分として注目を集めている「セラミド」は、肌の角質層に存在している肌の潤いを保つのに欠かせない成分ですが、年齢とともに減少していきます。

セラミドは肌の水分と油分のバランスを整えて、肌のバリア機能を保つという働きがあり、加齢とともに肌の乾燥が気になっている人や、肌に潤いを与えても長くキープできないという人にもおすすめです。


セラミドといっても種類が大変多いです。

    ヒト型セラミドや疑似セラミドは合成セラミドと呼ばれ、天然セラミドには植物由来のセラミド・動物由来のセラミドがあります。


    ヒト型セラミドや動物由来のセラミドは特に肌なじみが良く、植物由来のセラミドや疑似セラミドは低コストで配合しやすいため低価格のスキンケアにも配合されやすいなど、それぞれにメリットがあります。

     


    皮脂が気になる場合も「エモリエント効果」は意識した方がいい?

    皮脂が気になる場合も「エモリエント効果」は意識した方がいい?


    エモリエント効果を謳う化粧品は油溶性の成分が配合されやすいですが、皮脂分泌や肌のテカリが目立つ肌質の人は、肌のベタつきやニキビが気になる人もいるのではないでしょうか。


    肌の皮脂分泌が活発になりやすい場合でも、保湿ケアにはエモリエント効果を取り入れた方が良いのか詳しくまとめてみました。

     

    保湿にはうるおいと油分の両方が必要

    保湿にはうるおいと油分の両方が必要


    洗顔後の保湿を化粧水だけで済ませて、肌がカサついてしまった経験がある人はいませんか。肌の潤いを長くキープするためには、水分だけでなく油分も必要です。


    化粧水で潤いを与えた後に、乳液やクリームなど油分が配合された化粧品を使うことで、水分が蒸発しにくい状態に整えると、肌の潤いが長くキープされやすくなります。


    脂性肌・肌のテカリが気になる時は油分のバランスに注意を

    脂性肌・肌のテカリが気になる時は油分のバランスに注意を


    エモリエントにおすすめの成分は、肌の潤いをラッピングするように守ってくれるものが多く、油分独特のしっとりしたテクスチャーが魅力です。

    しかし皮脂分泌が活発になりやすい脂性肌や、汗をかきやすい時期に使うと、肌がベタついてしまう場合があります。

    肌のベタつきが気になる時は、油溶性の成分でもベタつきにくいセラミドが配合されたものや、モイスチャーバランスを意識した水溶性の保湿成分が配合されているものを選んでみましょう。

     


    エモリエント効果の保湿ケアで潤いのある美肌をキープしよう

    エモリエント効果は肌をやわらかく保ち、潤いが蒸発しにくい状態へと導いてくれます。保湿してもすぐに肌がカサついてしまう場合は、エモリエント効果が期待できる化粧品を毎日のスキンケアに選んでみてはいかがでしょうか。


    夏場で油分のベタつきが気になる時や、皮脂分泌が目立つ場合は水溶性の保湿成分や、ベタつきにくい油溶性の成分を選んでみるのがおすすめです。

    エモリエント効果の化粧品を保湿ケアにとりいれて、潤いのある美肌を長くキープしていきましょう。


    監修者:東京大学 薬学博士 杜 垚

    監修者

    薬学博士・杜 垚

    東京大学農学部を首席の成績で卒業、同年東京大学農学部長賞を受賞。
    東京大学大学院薬学系研究科で分子薬学博士号を取得。
    大手化粧品会社にてスキンケア、ヘアケア、クレンジングの研究開発や成分配合に長年従事。
    2020年株式会社Merry Plusを設立、代表取締役に就任。

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